前回から3回の予定で「日本とアメリカの文化の差」をテーマですすめてきておりますが、 今回の題材は「ショッピング」です。 前回の記事はこちらから読むことができます。 よくショッピングが好きな日本人ということを言われますが、 正直、私自身はその部類には入らないと思っていました。 例えば、私は海外に行っても簡単なお土産以外は買いませんし、 ディズニーランドの帰りにも、「おみやげ買わなきゃ!」と張り切ることもありません。 ただそんな私でもアメリカ人の視点で見てみると、やはりショッピングが好きな日本人というグループに属していたようです。 そのことに気づかされたのは、アメリカ滞在中の会話です。 ある日「普段の週末は、日本ではどんなことをして遊んでいるの?」という質問をされました。 大半の週末は、制作活動などで潰れてしまう私ですが、しいて言うなら 「友達と映画を観にいったり、都心にでて美術館や、デザイン関係のイベントに参加して、 帰りは街をブラブラして帰るよ」と答えました。 何気ない答えでしたが、この自分の発言の中に日本人の要素がたっぷりたまっていることに、彼から気づかされました。 皆さんはこの答え方のどこに日本人の要素があると思いますか? 見方によっては、美術に興味を持っているところかもしれません。 でも、彼らが注目したのはそこではなく、 「街をブラブラして何するの?」というものでした。 僕にしてみれば、新宿や青山を歩いて、何か気に入ったものでもあれば買って帰ろうかなというくらいの気持ちで“ブラブラ”なのですが、この行動をうまく説明できる言葉が見つからないのです。 必ずこれを買いにいくんだと思って歩いているわけではないですし、 買う気がないわけでもない。 この行動は、都心に限らず、週末になんとなく特に欲しいものはないけれど、 ホームセンターにでも行ってみようかなという気持ちと同じです。 「まだ、帰るには早いから、ちょっとどこかお店でもよって帰ろうかな?」や 「気分転換にちょっと近くのホームセンターに行って買い物でも・・・。」という このような考え方が日本人なんですね。 日本人は買い物という行動を楽しんでいて、1つのエンターテイメントにしてるのですよ。 それは、海外や旅行だけと僕は思っていましたが、普段の生活から買い物はスーパーにでも夕飯の材料を買いにいくというような形態以外は楽しみにしているんですね。 次にされた質問は、1人や仲のいい友達とそんな感じで楽しんでいるのなら、 「日本の大学生はデートでどんなところにいくの?」と聞かれました。 これは、千差万別あってわからないと答えたのですが、 そのときは丁度、夏だったので、 この時期だったら車持ってる学生は、海に行ったりするだろうし、そうでなければディズニーランドは近いから結構みんないってると思うよと答えました。 「でもオーソドックスなパターンでは、映画とか何かのイベントで出かけて、 おいしいものでも食べて、その近くをブラブラして帰ってくるのが多いんじゃないかな。」 と答えると、また「ブラブラしている」という言葉が入っており、やっぱりデートでもショッピングしてるのねと笑われてしまいました。 アメリカでの考え方では、ショッピングは、日本のスーパーでの買い物のようにしぶしぶいくという印象がつよいですから、デートでショッピングするなんて考えられないですよね。 映画やドラマを見ていても、デートでショッピングをしているシーンなんて見たことありません。もしあるとするならば、女の子同士がモールなどにいって、「この服どうかな」と相談しあっているようなシーンばかりです。 これらの考え方の差は、国土の広さの差から来ているではないかと僕は感じています。 日本の都市部では、いろいろなものが歩ける範囲にぎゅっと詰まっています。 そのため、目的地を決めて移動しているときに、何かしら探しながら遊ぶようなところが私たち日本人にはあるんです。 いい例としてデパ地下がありますね。 なにか目玉商品(都心では映画・イベント→デパ地下ではマグロ・駅弁)があって足を運び、それでそのエリアに行けばきっと何か他にも何かあるかなと思うといろいろ楽しいものに出会えるというものです。 でも、アメリカでは移動はすべて車なのでこうはいかないんですね。 服は服のお店ですし、食品はスーパーと区切られてしまいます。 デパートと似たものとしてモールがありますが、もしそのモールで気に入らないものがあったとしても、近くにお店があまりないので、他のお店にいってみようという 考えにもなってこないわけです。 そんな環境で生活していると、自分にあった商品を探す楽しみよりも 必要だから買いにいくというスタンスになってくるのではないでしょうか。 すると、便利だから使い勝手がいいからというものがデザインなど他の要素よりも 重視され、社会全体的に合理主義的な考え方が広まっているように感じます。 その逆もありますね。便利で使い勝手がいいものだけが広い国土のアメリカに普及できるのかもしれません。 ここまで、ショッピングに注目して話してきましたが、 ショッピングに限らず、日本の生活の話をしていて よく言われたこととして印象的な言葉があるのです。それは 「君は、日本でニューヨーカーみたいな生活をしているね」 というものです。これは何人もの人に言われました。 それは、普段から電車をよく利用して、地下鉄も自由自在に乗っている。 そして欲しい商品は何件も回ってお店を探しているし、 ミュージカルの話になれば、僕は日本ですでに観ているし、 アメリカのロックミュージシャンだってやってくる。 僕の生活圏は、都心から電車で1時間と 日本でいえば決して都会といえない場所なので、この言葉には驚きましたが、 世界的にみれば、これだけ交通機関が発達し、店舗や エンターテイメントが集中しているのはとても特異な環境なのだと思えてきました。 そんな環境で生活し、慣れていると、 人はただ商品を手に入れるだけで満足するのではなく、 こだわりを持って商品を選ぶようになってくのだと思います。 そんな背景が日本人のショッピングスタイルを生んできたのではないでしょうか。
by naomedia
| 2006-01-21 20:29
| アメリカ
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