青春の1ページを描く映画
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日本の映画をほとんど見ない私なのですが、まもなく公開される「夜のピクニック」という映画に興味を持っています。

この映画、茨城県にある県立水戸第一高等学校(以下、水戸一高)の「歩く会」という行事をベースに、この高校出身の作家、恩田陸さんの小説を映画化したものです。
この行事、私と全く切り離すことができない事情があるのです。

といいますのも、この映画のベースとなった歩く会と同じものが
私の出身高校に存在したのです。
それは私の高校ができた頃、水戸一高の校長先生が異動で私の高校に赴任され、
同じ行事を始めたからで、名前こそウォークラリーと違いますがほぼ同じ内容の行事を体験したのです。
では、先ほどから出ている「歩く会」とは何かと申しますと、
約24時間をかけて、全校生徒で約70キロを踏破するというもので、
行きは早朝に大型のバスで出発点に向かい、そこから高校に向かってみんなで歩きます。
初日にクラスメートと共に50キロ、次の日に仲のいい友達と20キロを自由に歩くというもので、映画のキャッチコピーにもありますが“ただ70キロを歩く”というイベントなのです。
この行事、私の高校では毎年ちょうどこの時期、9月の最終の週末に行われています。
卒業してから既に何年も経ちますが、やはりこの時期が来ると毎年思い出します。
そして天気予報をじっくり眺めて、今年はどんな様子でみんな歩いているのかなと物思いにふけってしまうのです。
そのようにちょうど思い出を掘り返してしまう時期に、偶然にもそのイベントをテーマにした映画が公開されるのですから興味をそそられてしまいます。

映画では、この行程に様々な人間模様やラブストーリーが絡んでくるようですが、実際の経験からすると、ラブストーリーはちょっとリアルではないかなという印象を持っています。実際は男女別々の行動という感じでしたから。

24時間で70キロを歩くというと、とてつもない距離を歩くように思われるかもしれませんが、
どんな女の子であっても歩ききれるものです。
足にマメができてしまったり、大変な思いをする人もいますが、歩く速度はとてもゆっくりでまさにピクニックです。私の感想では登山の方が遥かにきついです。


高校生活は3年間ですから、コースは3コース用意されており、
同じコースを歩くことは二度とありません。毎回が新鮮な風景です。
印象としては

70キロなんてあるけるのか?大丈夫かな?という
緊張の1年目。

持参する荷物、楽しみ方にも慣れてくる
慣れの2年目。

そして
感慨に浸る3年目。

そんな思い出の残るこの行事ですが、私の時は3年目がとても過酷だった記憶があります。
1,2年目はコースが山で、天気も曇りだったのですが、
3年目は9月も終わるというのに、雲ひとつない真夏日となり
コースも、霞ヶ浦に沿ってひたすら歩くものだったので木陰一つなく、
持参した水は底をつき、だだっ広い霞ヶ浦の風景は変わらず、
まるで砂漠の中を歩いているような気持ちでした。

そんなただ歩くだけの何が楽しいのかと思うかもしれませんが、
前回取り上げた登山のときと同じで、歩いているときは必死で気づきませんが
終わってみれば仲間と過ごした長い時間、一緒に乗り越えた大変な思いは
もう高校を卒業した後には得ることができない大切な青春の思い出として
強烈に残るものです。

先ほど、「感慨に浸る3年目」と書きましたが、9月の終わりということもあり、
高校時代最後の行事がこの歩く会になるのです。
三年目に最後にゴールのゲートをくぐるときには、
ここでこのゲートをくぐってしまえば、これで高校生活も終わりなんだなという思いがわいてきました。1,2年生のときはよかった!歩ききった!という達成感でのゴールでしたが、
3年目は70キロも歩いてきているのに、ゴールがもっと先ならいいのにという気持ちが
心の中で渦巻いていました。

そんな気持ちもあり、
また普段仲よしだった3人組のうち、一人だけ遅れている友人がいたので
「最後くらい一緒にゴールしようぜ」ともう一人の友人に伝え
すぐにゴールせずに遅れている友人をしばらく待ち、3人一緒にゴールしたことを思い出します。

それから約半年後、そんな記憶も薄くなり始めた頃、
卒業式を向かえ手元に届いた卒業アルバムを開いて驚かされました。
それはそのゴールを3人でくぐった瞬間の写真が大きく載っていたのです。(撮られていたなんて3人とも気づきませんでした。)
しかも、僕が中心で満面の笑顔に、右手の親指を立ててゴールをしていて、
友人二人が、僕の半歩後ろを疲れた表情で写っているのです。
一人だけ満面の笑みの僕がまるで水戸黄門で、その後ろにスケさん、カクさんというような
写真でいまでも笑いのタネですが、
あの瞬間がまぎれもなく青春の1ページとなってしまったわけです。
(あの友人二人の表情を見ると、もしかするとゴールがもっと先ならいいのになんて考えを持っていたのは私だけだったかもしれません。)


私はまだ映画を見ていませんし、どんなストーリーなのか、面白いのかどうかすら知りません。
ただ映画のスナップ写真を見る限り、あの日の風景にそっくりであることは確かです。
もし、チャンスがありましたら一度ご覧になってみると、きっと私の文章だけでは伝えることができない、このイベントの雰囲気が味わえると思いますよ。

映画公式サイト ----- 夜のピクニック
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by naomedia | 2006-09-20 01:39 | 映画
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