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不都合な真実
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この夏、アメリカでは地球温暖化への関心が非常に高まっていました。どのニュース番組を見てもglobal warming=地球温暖化についての話題ばかりで、この夏一番多く耳にした単語だったかもしれません。
この状況は驚きの連続でした。車社会、石油垂流し、CO2削減を約束した京都議定書の破棄という無関心なアメリカ像とは正反対なものがそこには存在し、1本のドキュメンタリー映画が全米で旋風を巻き起こしていました。

それは「不都合な真実」(英題An Inconvenient Truth)」という映画で元副大統領のアル・ゴア氏が制作したものです。
この映画ドキュメンタリーということもあり最初は77スクリーンという小規模な公開で始まったのですが、それでも全米top10に入り、その後徐々に拡大していき映画もゴア氏も注目を集めていました。(私も滞在中に知人と見に行く予定だったのですが急用で行けず、その後まもなく帰国となってしまい、今でも現地で見られなかったのが心残りです。)
私の滞在地の近くの書店にゴア氏がスピーチに来た際には、著書にサインをもらうのに3、4時間待ちの末会えたと会いに行った人は言っていました。
この人気ぶりに最初は、先の見えないテロ対策一辺倒のブッシュ大統領に対しての反感がゴア氏支持へと結びついているのかと思ったのですがそうではないようです。
何人もの人に聞いても、彼は次回の選挙に出馬するほどの支持はなく、本人も出る気はないと言っています。純粋に人々の感じていた危機感が、この映画を皮切りに噴出したのです。

前回の記事で私は日本での取り組みが徐々にうまくいっていると書きましたが、あの騒ぎ方を見ていると今のペースでは遅すぎるのではないかと何度も感じさせられました。
日本では温暖化といえばヒートアイランドのように都会に集中して問題視されていますが、
米国ではいつも地球全体の変化を取り上げており、どこかの都市に注目したものではなかったのです。

冒頭で少し京都議定書のことに触れましたが米国では多くの人がそのことで心を痛めていました。それを表す印象的な言葉を私は知人から聞かされました。
「私たちはあの約束を守りたいし努力したい、でも国が一方的に破棄してしまった。他の国の人に申し訳ないし政府に憤りを感じる」というものです。この言葉を聞いて、また私の中での環境に配慮しないアメリカ像は崩れました。まず普通の人が日常会話の中でこんなテーマを日本ではしないですし、CO2の削減を自分でしようとする気持ちすらなかったからです。
そんな良い方向を感じた反面、残念な現状もありました。
「関心はとても高いし危機感はあるけれど、それ以上に多くの人が海賊の映画のほうが好きみたいね。」というものでした。
この二つの言葉に、今の米国の実情を垣間見た気がします。

日本での公開は来年の1~2月のようですが、六本木では10月28日からの公開が決まったようです。
日本でも旋風を巻き起こし、多くの人に目を背けてきてしまった不都合な真実に目を向けさせることができるのか。運良く私は日米両方の反響が見られそうなのでどのように受け入れられるのかその様子を注視してみたいと思います。



日本の公式サイトが最近オープンしたのでリンクを貼っておきます。
予告映像がすぐにご覧いただけます。
公式サイト・・・不都合な真実
書籍版・・・不都合な真実
by naomedia | 2006-10-10 23:57 | 映画
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