今年もいろいろあった1年でしたが、残りは1週間です。 テレビではこの1年を振り返る番組が頻繁に流れていますね。例年通り、暗い話題が多いですが、そんな話題の方が多くの時間を割いて放送されるのですからある程度はいたしかたないでしょう。 僕の率直な感想としては、今年は例年より多少明るい話題が多い気がします。 景気が少しよくなった世相を表現するためのテレビ局側の“演出”もありますが一時の不景気のどん底というよりは、人々の気持ちに少しゆとりが生まれてきたように、ブラウン管越しには見えてきますね。 今年、世の中でヒットしたものとしては、レッサーパンダの風太くんや、ピチピチの黒い服を着た人が流行っていましたが、僕の身近なところでヒットしていたものといえば、 “ミネラル・ウォーター”ですね。 コントレックスなどの硬水のブームや、ウォーター・バーなどは3年程前からありましたが、 多くの場合健康のために飲む水は自宅で飲むものでした。 それが最近は、自宅だけでなく“携帯”するものへと変化していったように思えます。 そしてその反動を受けたのはお茶業界でしょうか。 今年も新製品が多々投入されてきましたが、全体的に緑茶ブームが少し沈静化してきたように思えます。 各社の主力が絞れてきたせいか、まるっきり新しい新製品というよりも、多少のモデルチェンジが頻繁に行われていたように感じます。そして、それら新製品のお茶のスペースを少しずつ侵食してきたのがあまり見慣れない海外のミネラルウォーターです。 ただこんな話を書いている僕自身は、日本にいる限りはあまりミネラルウォーターは飲まないですね。別に甘い飲み物が好きなわけではないのですが、 日本の水道水は十分普通に飲めますから。 僕がサンフランシスコに滞在していたとき、初めて向こうの水道水を飲んだときに 味の違いに驚かされました。もちろん硬水であるということも考慮していますが、 その味を例えるなら、コップの中にまだ洗剤が残っているのに水を入れてしまった感じです。 そしてどことなくプラスチックのような匂いと味がしたのを覚えています。 そのときは、驚いて隣にいたアメリカの友人にこの水、味が変だよって言ってしまいました。 すると彼は、「普通だよ、何がおかしいの?」と不思議な顔をしていました。 それが普通の水道水とわかった後は、慣れなきゃいけないと何度かトライしましたが、 残念ながら無理でした。 それからというものスーパーにいったときは毎回、クリスタルガイザーを 4リットル買うようになりました。これが重くてつらかったんです。 ここまで、水での苦労を味わえば、よくアメリカ映画に登場する大きな水色のボトルに水を入れて宅配している水を売るサービスが納得できましたね。 水道水を飲みたくないと思うと、飲み水がないという状況と同じになってしまいとても大変なんですよ。考えてみると、私たちが普段自宅で飲んでいる麦茶なども元は水道水なんですよ。 その量を考えると普通の家にでも水を宅配する会社が成り立つんですね。 このようにミネラルウォーターが普及していると、ミネラルウォーターは安いイメージを 持つかも知れませんが、ペットボトルの価格で比較するとそこまで大きな違いはありません。 種類もたくさんありますが、水を楽しむという感覚はあまり持っていないみたいですね。 お気に入りの銘柄はそれぞれあるようですが、それも1ケースで買うときの目安程度です。 そのように考えると日本人が世界中から、水を集めて、ダイエットなどの目的に限らず 口当たりを楽しんでいる様子を見ていると、水に困っていない環境があることと、水をより楽しんでいるように見えます。 味ではなく、口当たりを楽しんでいる様子を見ていると、人間に最も大切なものでありながら嗜好品を楽しんでいるかのように見えてきます。 アメリカの人たちから見れば、へんなことなのでしょうが、この味のほとんどないものに、こだわりを持ち楽しんでいるところが、日本人が持っている物の本質を楽しむ心であり、繊細なものに気がつくいいところですね。 取れた土地柄や環境によって生まれる味の違いという繊細な部分を楽しむというのは、日本料理で使われる、だしを楽しむ感覚に近いように思います。 このように考えてみると、山の中を何百年も通りミネラルを吸収して湧き出てくる水を飲みたくなる理由は、人間には決して作り出せない、体が味わう ”うまみ”に惹かれているからではないでしょうか。
by naomedia
| 2005-12-24 22:23
| カルチャー・エデュケーション
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