先日、ラジオを聴いているとDJ(誰かは忘れましたがミュージシャンのようでした)に対して「なぜ、アーティストは夜型なのですが?」という質問が寄せられていました。 私はデザイナーでアーティストではありませんが、やはり夜に作業をする方が集中できるのです。美大時代の友人を見ても、その多くも夜型だったと思います。 ではなぜ、夜型なのかと聞かれると答え方に困ってしまいます。 一日中アイディアを考え続けて、そしてようやくまとめに入るからいう印象ではあるのですが、夜の作業は集中でき、はかどるのです。 さて、このDJはいったいどんな答え方をするのかと、聞き耳を立てていると その答えは非常に簡潔で、誰にでもイメージし易い説明に驚かされました。 「もしあなたが好きな人にラブレターを書こうとしたら、 朝起きて、さあ書こう!なんてしないでしょう。まずそんな気分にならなし、お昼までに書き上げようなんて予定も立てられない。 夜になっていろいろ一日中考えたその人への想いを何度も書き直していくはずです。音楽を作るのだって同じなのです」(言葉は違うと思いますが、内容はこのようなものでした。) ミュージシャンの言葉なので、私とは違う分野ではありますが 誰にでも物作りに対する熱意を説明するのにとても分かり易いものだと思います。 もし、小中学校の図工や美術の時間が嫌いで物を作る楽しさに気づき難かった人が この説明を聞いたとしても、またはラブレターを書いたことがない人が聞いたとしても、 自分が作ったものを通して、自分の考えを一生懸命他の人に伝えようとする努力を説明するのにイメージしやすい例だと思います。 なぜ夜型になるかということに関しての答えは「気分」としてしか説明がありませんが それだけ没頭して一つのことに熱中し、一生懸命に取り組むからこそ夜になってしまうということが想像できると思います。 ラブレターを例に挙げものづくりの流れを説明するのは本当によくできた説明だと思います。 それはものづくりにおける物自体作るところから、作り終わった後にプレゼンテーションするまでの行程がラブレターにも含まれているからです。 何かを本気で作ろうと思ったら、何度も何度もまるで粘土のように練りこみ作っては直し作っては直しを繰り返すはずです。 そうすることによって必要なものだけ、意味を持ったものだけが残り、作品として非常に明確でありながら、深い意味を持ち合わせたものになっていきます。 これをラブレターに例えるなら、手紙に書く文面の推敲にあたりますね。 別の意味に取られないように、そして明確に気持ちが伝わるように言葉を選び、何度も書き直すことでしょう。 ストレートに気持ちが伝わるように。 そして、効果的に相手の気持ちを動かすことができるように。 そしてそのようにしてようやく出来上がった手紙を次のステップで封筒に入れますね。 どんな封筒にするかは、書き始める前に決めてしまっているかもしれませんが、 最後に必ず入れ方を考えるでしょう。 2つ折がいいのか、3つ折の方が印象が良いのか。 女の子ならドラマのように香水を吹きかけるかも知れませんし、閉じるシールを考えかもしれません。 これらのことはものづくりでいうところの、作品を相手に見せる為のプレゼンテーションの準備と重なります。 まず、作品の何から見せるか。 いきなり作品を見せるものいいが、感動が薄くなる可能性がある、だからといってコンセプトから語り続けるとその前に飽きられてしまって作品の確信(ラブレターにおける自分の気持ち)が霞んでしまう。 そんなことで、どういう第一印象を与えるかの戦略と準備ですね。 そして、ラブレターを書いたなら渡し方も必ず考えるでしょう。 確実に、且つ印象的に。 警戒心を持たれないように。 また、うまく渡せなかったときの修正案も少し頭でシュミレーションすることでしょう。 これは、プレゼンする相手に対しての気持ち、準備と全く一緒ですね。 そして実行した後は、 やれるだけのことをやったので、相手がいい返事をくれることを待つだけです。 ラブレターなら「YES」で、 デザインなら「採用」ですね。 家族や友人、知人から週末も夜も気にせず何かを作ってる私の日常について、 なんでそんな思いをしてまでやるの?といわれることがあります。 (決して自分ではそんな思いまでして作っているわけではなく、ラブレターでいう 推敲の部分に時間を取りすぎていて、締め切りぎりぎりで、プレゼンの準備に必死になっているだけなのですが。) でも、そんな時間が今の私には本当に楽しいのです。 自分の想いを込めたものに没頭し、見せる相手の反応を考えて作っているときは 緊張とワクワクした気持ちとが入り混じりなんともいえない時間になっています。 これまでものづくりラブレターとの類似点ばかりを挙げてきましたが、ひとつ大きく違うことがあります。 それは、何かを作って相手に渡したとき、その場で相手の反応を見ることができることです。 いい反応の時も、悪い反応のときもありますが、 いい反応のときに見せてくれる笑顔はこれ以上ない最高のひとときです。 その瞬間、その表情から、次の作品への意欲をもらっています。 ただ、いつも採用とうまくいきすぎると、調子づいていってしまいますから、 たまに、"フラれ"たり、ダメだしをされたほうが、自分を見つめなおし、成長しなかればいけない部分を見つけ努力するので、よりいい作品ができているのかもしれません。 人生と同じですね。
by naomedia
| 2006-09-13 23:11
| アート ・ デザイン
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